インフルエンザにご用心!!

今月4日、北海道や関東、近畿、山陽地方でインフルエンザ患者が多数報告され、本格的な流行シーズンに入ったことが国立感染症研究所の調査で分かりました。昭和62年以降の20年間では最も早い時期での流行入りで、近年流行がなかった「Aソ連型」のウイルスが多いのが特徴だそうです。

一昨冬は「A香港型」、昨冬は「A香港型」と「B型」が流行しており、「Aソ連型」の免疫を持つ人は少ないとみられています。厚生労働省は昨冬の消費量(約1900万本)を上回る約2520万本のワクチンを今シーズンに供給する予定です。しかし、接種から効果が出るまで2〜3週間かかるため、「一日でも早くワクチン接種をしてほしい」と呼びかけています。

(社)福岡県医師会ホームページ(http://www.fukuoka.med.or.jp/)の「感染症情報」によると、11月26〜12月2日の福岡県内の患者報告数は198の定点医療機関合計で31人(北九州25、福岡4、その他2)で、1医療機関当たり0.16人。流行の始まりについては「例年並み」とみています。

インフルエンザの症状は、突然の38〜39℃を超える発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などに加え、鼻水、咳などの上気道炎症状や全身倦怠感です。流行期にこれらの症状があった場合は、インフルエンザの可能性が高いと思われます。潜伏期間は、1〜5日(平均3日間)とされており、発症してから3〜7日間はウイルスを排出すると言われています。多くは1週間程度で自然に治るが、抵抗力が弱い乳幼児や高齢者、持病のある人などは、死亡の恐れもあるそうです。

医師の判断の元、発症から48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬(リン酸オセルタミビル、ザナミビル水和物、塩酸アマンタジン)の服用を開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少します。ただ、服用後の異常行動が問題化した治療薬「タミフル」の処方が10代で原則禁止のままとなっているなど、治療の選択肢は限られており、早期のワクチン接種やマスクの着用による感染予防が必要です。

今すぐできる予防対策

   ● 栄養、睡眠を十分に取る
   ● 手洗い、うがい(うがい薬や緑茶を使用)
   ● 喚起をこまめに行い、湿度を十分に保つ(50〜60%)
   ● 人ごみ、感染者のいる所など、感染の可能性が高い場所を避ける
   ● マスクの着用

以上のようなことは、当然とも言えるかもしれませんが、それこそが最も基本的で最も大切な予防方法なのです。少し気を付ければ誰にでもできることで、ある程度感染を防ぐことができるのです。ですが、日常生活で会社、学校、電車などの人ごみを避けるのは難しいことです。マスクは、人に移さない為だけでなく、健康だからこそ周りから移されない為にも着用することが望ましいと思われます。

マスクはウイルスを通すので意味がないという説もありますが、最近のマスクは立体型が主流になるなど、急速に改良が進んでおり、口があたる部分に湿ったガーゼを入れられるものなど画期的な商品も発売されているようなので、何らかの効果は期待できるのではないでしょうか。

このような基本的な対策を行ったうえで、更なる対策は予防接種です。 (福岡県庁ホームページには福岡県域の予防接種実施医療機関一覧が掲載されています。http://www.pref.fukuoka.lg.jp

多くの病院で予防接種を実施しており、料金は病院によって異なりますが3,000円前後のようです。65歳以上の高齢者は1,000〜1,200円程に設定されています。

しかし、注意しなければいけないのは、インフルエンザワクチンにも副作用があるということです。他のワクチンと比べると副作用は少ないのですが、体質によっては注射した部分が腫れて痛みがあること、時に発熱が見られることもあります。また、インフルエンザワクチンは製造段階で、ワクチン製造用のインフルエンザウイルスを発育鶏卵に接種して増殖させている為、卵アレルギーやゼラチンアレルギーがある人が予防接種を受ける際は医師への相談が必要です。

当然、副作用というマイナス面よりもプラス面の方が大きい場合のみ予防接種を受ける価値があります。特に接種を勧めているのが、以下のようなインフルエンザを発症しやすい人、うつりやすい環境にいる人です。

    ・65歳以上の者
    ・老人施設入居者、従業員
    ・呼吸器系、循環器系の慢性疾患を有する者
    ・医療施設の医師、看護師、その他の医療従事者
    ・学生
    ・妊婦
    ・HIV感染者
    ・海外への旅行者

以前は、感染経験の少ない学童生徒が最もインフルエンザにかかりやすく、学校がウイルスの主な増幅場所であり学校から社会へと広がって行くという考えがあり、全校生徒が集団接種を行っていました。しかし、これは学童生徒の人権問題であるとの批判や、学校で集団接種をしても社会におけるインフルエンザの流行は制圧されていないなどの批判があり、1994年の予防接種法改正に際して任意接種となったそうです。

また、最近ではアレルギーを持つ子供が増えていて、先に述べたように卵アレルギーの問題もあり、集団接種は見直されたようです。ただ、集団生活を行っている以上、感染の可能性は高いわけで、予防接種を受けるに越したことはないでしょう。

とはいえ、薬に頼る前に、まずは規則正しい生活を送り、健康な体で免疫力を高めておくことが何よりも予防対策になるのです。


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